2023年04月18日
目次
◎廃油脂が油水分離機で再資源に生まれ変わる
◆畜肉加工1日8t!500kgの廃油脂を柄杓で掻き出す
◆廃棄物から有価物に
◎廃油脂が新たな原料に!循環するサーキュラーエコノミー
◆循環のための一次処理
◆世界レベルの技術でさらなる精製処理
◎最新鋭の技術が可能にしたサーキュラーエコノミー
今回は、液体浄化装置の専門メーカーであるアメロイドの油水分離機を導入してコストカットとリサイクルを実現させた企業の事例をご紹介します。サーキュラーエコノミーの実現にもつながった本事例は、どのような製品を導入することで実現したのでしょうか。
廃油脂が油水分離機で再資源に生まれ変わる
日東ベスト株式会社様は、1937年に創業し1948年7月に設立した缶詰、冷凍食品、日配食品などを製造する老舗の企業です。1950年には国産コンビーフの開発に成功し、1967年には業務用冷凍食品加工の分野へと進出されました。
現在では山形県寒河江市に本社を持ち、北海道から九州まで事業所を展開。スーパーマーケットやレストランチェーン、学校給食などで扱われる冷凍食品、レトルト食品、常温食品などを手がけていらっしゃいます。
畜肉加工1日8t!500kgの廃油脂を柄杓で掻き出す
日東ベスト・東根工場様は2016年頃から畜肉系の加工に特化され、1日8tもの畜肉を加工。廃棄物の内容も変わりましたが、使用されていたグリストラップは簡易的なものでした。
1日1tの廃水から分離された廃油脂は500kg。それを毎日柄杓で取り出す作業を行なっておられました。冬場は廃油脂が固まって重くなるため特に重労働となっており、さらに廃油脂の回収コストもアップしたことから、弊社にご相談がありました。
廃棄物から有価物に
ご相談を受け調査する中で課題となったのは、製造品目により廃油脂の量が一定ではなく、温度が低いと動物油脂が固まり配管につまりやすくなることでした。
そこで弊社では排水サンプルもとに処理能力の高い油水分離機「UB-S4型」の導入をご提案。これまでは人力で作業を行なっていたため、夜間~早朝の時間帯には排水処理ができませんでしたが、「UB-S4型」はタイマー制御でスラッジを自動排出する機能を搭載しており、24時間排水処理が可能となりました。これにより廃油脂の量に関わらず廃油脂が固まる前に処理ができるようになり、課題であった配管の詰まりは解消されました。
また、常時、油や固形物を分離、捕捉することができるようになり水質が改善。これにより排水処理時の薬品使用量が大幅に軽減され、薬品コストを削減することができました。また、薬品使用量が軽減できたことで、廃油脂(汚泥)の性状が安定。グリストラップへ流れる廃油脂を有価物として回収してもらえるようになり、年間40万円の売上を実現しました。
さらに!バキュームカーの手配回数も削減でき、年間360万円のコストダウンにつながりました。この手配回数の削減はバキュームカー運搬時のCO2排出量削減にもつながっています。
弊社の装置を導入いただいたことで排水処理の作業やコストの大幅カットを実現すると同時に排水から分離された廃油脂の有価回収を実現。環境保全にも貢献できるなど良いこと尽くしとなりました。
なお、「UB-S4型」は、洗浄液、脱脂液、水溶性クーラント、加工液など、各種水溶性の液体から油とスラッジを同時に除去する1台2役の油水脱油機です。油とスラッジが混入した水溶液を「UB-S4型」へと供給すると、混ざっていた油はキレイに分離し連続排出され、スラッジはタイマー制御により自動排出されます。タンクに設置して連続稼働するとタンク内の油とスラッジを連続的に自動排出しますので、タンク内の水溶液はキレイな状態が維持できます。
廃油脂が新たな原料に!循環するサーキュラーエコノミー
日東ベスト様の廃油脂は、以下のような工程を経て再生されます。
循環のための一次処理
日東ベスト・東根工場様の廃油脂を回収しているのは、廃食用油および動植物性残渣の回収、リサイクルを行なうあやめサービス有限会社様です。
あやめサービス様は2~3日に1回、日東ベスト・東根工場様から廃棄油ボックスを回収。この状態ではまだ油とオリといわれる不純物が混在していますので、まずはメッシュで濾します。続いて蒸気で加熱して油脂を溶かし、柔らかくしながら絞ります。オリやカスにさらに熱を加え、油、水、固形物、オリ(不純物)に分離していきます。
沈殿物が取り除かれた廃油脂はさらに二次処理の工程へと送られます。
また、残った沈殿物も他の食品廃棄物と一緒にさらなる処理が施され、魚の骨はサプリメント、肉骨粉はコンクリート原料、豚の骨粉はラードやマーガリン、ニカワ(接着剤)の原料へと生まれ変わっていきます。
世界レベルの技術でさらなる精製処理
あやめサービス様で沈殿物が取り除かれた廃油脂は、業界初の国認定のリサイクル工場を保有し、世界レベルの精製技術を誇る廃食油専門リサイクル企業の株式会社吉川油脂様で二次処理が施されます。
届いた再生油脂は油種ごとに分別され、室(むろ)で温めて液状にします。そして、独自開発された減圧過熱分離機に投入。減圧により油を70℃以上で沸騰させ、強制的に油、油かす、水に分離します。さらに、遠心分離機やフィルタプレスと工程を重ね、規格内の油とするための精製処理が行なわれます。
精製された油は工業用油メーカーへ出荷され、燃料や石けん、化粧品、塗料などの原料に生まれ変わります。また、遠心分離機で分離された油かすもチップ状になるまで加熱することで土壌発酵用の肥料などに再生されます。
このように日東ベスト様の動物系由来の廃油は工業用油や燃料用油の原料へと生まれ変わり、サーキュラーエコノミーを実現しているのです。
最新鋭の技術が可能にしたサーキュラーエコノミー
これまで廃棄されるだけだった畜肉加工工場で排出された廃油脂ですが、アメロイドの油水分離機を導入することによって排水処理時の薬品使用量が大幅に軽減されたことで資源の循環が可能となりました。
特に廃食用油に関しては昨今、持続可能な航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」への再利用が注目を集めており、国内でもSAFの技術開発・製造・流通・利用の動きが加速しています。
今後、環境問題や将来的な資源不足の解決策として資源の循環利用はより進んでいくものと思います。弊社は液体浄化装置を通じて、サーキュラーエコノミーの実現のためお手伝いをさせていただきます。排水処理などでお困りのことがございましたらお気軽にご相談ください。