【実践するサーキュラーエコノミー】酒造工場の洗米排水が遠心分離機で再生肥料に生まれ変わる

2023年02月08日

大量に発生する洗米水の処理に困っていた酒蔵・関谷醸造様。アメロイドの製品を導入することで、日本酒の製造工程で発生する洗米水を水と米糠スラッジ(かす)に分けることに成功しました。発生した米糠スラッジは農業肥料や融雪剤へと再利用できるようになったことで、サーキュラーエコノミーを実践しています。

サーキュラーエコノミーについてはこちらのコラムをご覧ください。

1日10トン!洗米水の排水処理に悪戦苦闘する日々

愛知県・名古屋から車で約1時間半の場所に位置する関谷醸造様は、1864年に創業した老舗の酒蔵です。酒造りには不向きな硬度10以下の超軟水の湧水を仕込み水に使い、日々日本酒を醸造しています。

そこでは1日あたり10トンにもなる大量の洗米水が排水されていますが、公共の下水道が整っていない地域のため排水処理は関谷醸造様が自社で行なっていました。

洗米水には削った米糠が含まれており、排水槽に沈殿したスラッジはバキュームカーで汲み上げなければならず、コストも労力もかかっていました。

関谷醸造様では年々生産量も増加していることから自社で排水処理を続けていくことは限界だと考え、弊社へご相談くださりました。

幅1mの隙間に収まるよう装置をカスタマイズ

そこで弊社が提供したのは、大量の廃液量をまかなえる水処理能力を持つ「遠心分離機 アメロイドセパレータ AS型」です。ただ、そのままでは関谷醸造様が求めているサイズに合わなかったため、幅1mの隙間に収まるようカスタマイズして導入することとしました。

コンパクトでも大量の処理能力を持つ「アメロイドセパレータ AS型」を導入したことで、排水の透明度がアップ。役所にも「下水に流しても大丈夫」と判断されるキレイな排水を流せるようになりました。

排水槽の清掃頻度も激減し、生物処理槽の微生物の負荷も軽減されました。

商品についての詳しい説明はこちら

遠心分離機で洗米水から米糠スラッジも分離

洗米水には水に溶けない細かな米糠も含まれていますが「アメロイドセパレータ AS型」を使うことで、真っ白いホイップ状のスラッジとなって自動的に分離することができました。

固形化した沈殿物とホイップ状の米糠スラッジ

そもそも日本酒造りで使われる原料は水と米。自然由来のものだけなのです。「アメロイドセパレータ AS型」を使用して洗米水に含まれる米糠を分離し、沈殿物の含水率を下げることで、米糠スラッジを肥料として再利用する道が開けました。

 

米糠スラッジを肥料に再生!

関谷醸造様の米糠スラッジは、以下のような工程を経て肥料として再生されます。

リサイクル肥料製造会社が回収

回収された米糠スラッジはリサイクル肥料製造販売を行なっている花丘商事様へと送られます。ここには関谷醸造様の米糠スラッジをはじめ、コーヒー粕など穀物類などの原料から製造に必要な成分を抽出した後の残有物が県内約25社の食品・飲料工場から集まります。

花丘商事様の肥料製造施設では匂いが発生しないよう、時間をかけて乾燥を行なっているのが特徴です。

急激な乾燥は匂いに元になることから、人工的なエネルギーは極力使わず、自然光が当たる風の通りの良い半屋外の乾燥施設でできる限り自然な方法で乾燥させています。

肥料、融雪剤、植物の栄養剤に再利用

米糠スラッジを含む回収された残有物は約1週間かけて含水率10%未満になるまで乾燥し、粒の大きさごとにふるい分けます。

3mm以下の小さな粒はゴルフ場のグリーンの栄養剤や融雪剤として活用し、8mm以下の粒は肥料となり地元農家や果樹園などに出荷されています。

それ以上のサイズのものは、スラッジの水分調整用として利用されています。

リサイクル肥料製造会社の花丘商事様では、20年前にサーキュラーエコノミー(循環型経済)の形成をめざすNPO法人「菜の花プロジェクト」を設立しています。

県内では自ら500か所で菜の花畑を運営。菜の花から食用菜種油を搾油するだけでなく、搾取の際に出る油かすも肥料として再利用しています。さらに、麹と油粕を原料とした「菜の花醤油」の製造も始めています。

花丘商事様では今後、さらに農業に力を入れることで、産業廃棄物処理施設のイメージを変えていこうとしています。

サーキュラーエコノミーが企業価値を高める

関谷醸造様では日本酒製造工程で出る洗米水に含まれる米糠スラッジを廃棄することなく再利用しています。

「米と水」だけという自然由来の原料から造られる日本酒製造の特性を見事に生かして循環させていることはサーキュラーエコノミーそのものだといえるでしょう。

アメロイドの液体浄化装置を活用することで、サーキュラーエコノミーは実現できます。世界的な環境意識の高まりから、こうした取り組みを行なっている企業が今後はますます評価を高めるといえるでしょう。

液体浄化のプロフェッショナルアメロイドの製品一覧