2024年04月10日
前回のコラムでは「油の選定」についてお話しましたが、最適な油を選定しても油は使用しているうちに劣化したり、油量が減ったりしていきます。このような状態で使い続けると焼付きや温度上昇などが発生し、重大な設備トラブルに発展する可能性があります。
このため、使用中の油を定期的にチェックし状態を把握しておくことは欠かせません。
【基礎知識】油が劣化する主な4つの原因
油は遅かれ早かれ劣化してしまいます。では、なぜ劣化してしまうのでしょうか。油の劣化の原因は主に次の4つが挙げられます。
- 酸化
- 機械の運転に伴い発生する熱や外部からの酸素と油が反応し酸化が進行します。油が酸化すると、油の粘度が変化したり添加剤が消耗したりする傾向にあり、潤滑性能が低下し機械の寿命を縮める原因ともなります。
- 不純物
- エアブリーザ、給油口、シール部などから埃や煤などが侵入します。これらの汚染物質はポンプの詰まりを引き起こします。また、金属同士の摩耗によって金属粉が発生します。これら金属粉は金属同士の隙間に入り込み更なる摩耗を引き起こし、機械の寿命を縮める原因となります。
- 水分
- 結露が発生したり雨水が混入したりし、油の中に水分が混入すると、油の潤滑性が低下します。また、水分と反応して設備に錆が発生することもあります。
- 熱
- 高温下での使用や機械からの熱の影響を受けると、油の分子構造が変化し、劣化が進みます。これによって油の粘度や潤滑性が変化し、機械への悪影響を及ぼすことがあります。
潤滑油の日常点検で見るべき6つのポイント
劣化した油を使用していると設備に重大なトラブルを招く可能性があります。また万が一、油漏れなどで適正な油量が保てていなければこれも設備トラブルにつながります。 油の管理では変化を察知してすぐに対策を打つことが大切です。変化に気づくためには日々の点検が重要となります。
- 油量
- タンクに適量の油が入っているか。レベルゲージを見やすい位置に設置し油量をチェックしましょう。
- 漏れ
- 補給理由の7割は「漏れ」によるものと言われています。配管やシールから漏れがないかチェックしましょう。
蛍光剤を添加し漏洩箇所を探知するという方法もあります。状況に応じてこういったツールを使うことも有効です。 - 温度
- 作動油の場合、適性温度は約40℃ですが、温度が高いほど劣化スピードが上がり、50℃~60℃で寿命が半分になると言われています。正しい動作温度範囲内で運用しましょう。
- 色
- 酸化や異物混入などで油の劣化が進むと徐々に色が濃く変色していきます。新油と比較して色の変化をチェックしましょう。 色による劣化判定はASTM色を基準にします。新油の色のASTM番号に対し2以上濃い色に変化していたら、酸化劣化限界と言われています。
- 透明度
- 油に水分や異物が混入すると透明度が失われます。見た目の色がきれいでも透明度が落ちている場合は、劣化が進んでいる可能性があります。新油の時のような透明度が保たれているかチェックしましょう。
- 臭い
- 酸化劣化が進むと、酸化臭が発生します。刺激性のあるいつもと違う臭気を感じたら、それは油の酸化のサインです。
最新技術を活用した油のモニタリング|センサー技術×IoT
近年、センサーやIoT技術の進化により、様々な産業分野で効率的かつ精密な監視システムが導入されています。製造業や機械メンテナンスの現場でも、油の状態をリアルタイムで監視し、機械のパフォーマンスを最適化することが可能となりました。
センサー技術を利用することで、油量、温度、粘度などの変化をセンサーで感知し、油の劣化具合や交換時期を正確に把握することができます。
また、IoT技術を利用することで、センサーで感知したデータをクラウド上に送信することができます。遠隔地からでも油の状態を常時監視し、異常があれば即座にアラートを出して対応することが可能です。
このようにセンサーとIoT技術を組み合わせることで、予防保全が可能となり、突発的な機械トラブルを未然に防ぐことができます。さらに、適切なタイミングで更油などの対応を行なうことで、機械の寿命を延ばし、長期的なコスト削減にも繋がります。
アメロイドの24時間365日遠隔監視システム
アメロイドではこのような最新技術を使った油の状態監視の手法をご提案しております。
お客様専用画面をレイアウトに合わせて作成しますので、設備ごとの油量、温度、粘度などの油の状態をリアルタイムで確認できます。また、各データはクラウド上に蓄積しますのでいつでも推移を確認できます。万が一、あらかじめ設定した閾値や異常値に到達した場合は、速やかに設備ご担当者様にお知らせします。
アメロイドは浄油以外にも油の状態監視でお客様の設備トラブルを未然に防ぐお手伝いをいたします。遠隔監視システムについても是非お気軽にご相談ください。
続きの記事はこちら⇒【保全担当者必見】潤滑油管理~定期的な油の性状診断~