2022年11月21日
目次
◎遠心分離機の基本を知ろう
◆「遠心分離」とは?
◆遠心分離機の用途
◆遠心分離機の遠心力の大きさは?
◆低速・中速・高速の違い
◎遠心分離機の仕組みとは?
◆分離の種類
◆遠心分離機の仕組み
◎遠心分離機を導入するメリット
◆効率的な分離
◆高精度の分離
◆多用途性
◆コスト削減
◆自動化と操作の容易さ
◆SDGsの課題をクリアできるメリットも
◎アメロイドの遠心分離機の特徴
◆FK型サイクロン
◆アメロイドセパレータAS型
◆遠心脱油機UB型
◆遠心脱油機WF型
◆安心のアフターサポート
◎まとめ
「遠心分離機」とは遠心力を発生させて比重の異なる物質を分離させる機器で、さまざまな用途で使用されていますが、どのような用途に役立ち、どのようなメリットがあるのでしょうか。本コラムでは種類や仕組み、特長など、遠心分離機の基礎知識をご紹介します。
遠心分離機の基本を知ろう
遠心分離機と聞くと機械をイメージする方は多くいるかと思いますが、実際どのような機械なのでしょうか。本コラムのはじめとなる本節では、遠心分離機とは何か、基本的知識をご説明いたします。
「遠心分離」とは?
「遠心分離」とは、遠心力を利用して比重に差のある2つの物質を分離することです。例えばバケツに水を入れて勢いよく振り回すと中の水は落ちてきません。これは回転させることで水がバケツの底に押し付けられる力、すなわち遠心力が水に働いているからです。この遠心力を活用して、2種類以上の液体や固体を積極的に分離させることを遠心分離と呼びます。
遠心分離機とは、その名の通り遠心分離を行なう機器のことで、回転体を高速で回転させることで回転体内に強力な遠心力を発生させ、回転体内で複数の物質を強制的に分離させることができます。自然に分離させるのが難しい物質や短時間で分離させたい物質がある場合に利用されます。
遠心分離機の用途
遠心分離機は様々な用途に使われており、現代社会において欠かせない存在となっています。遠心分離機は大きく分けて工業用、医療用(理化学用)、家庭用があります。
工業用遠心分離機は、廃水処理や油水分離、化学物質の精製など、さまざまな産業で重要な役割を果たしています。医療用および理化学用遠心分離機は、血液成分の分離やDNAの抽出など、臨床検査や研究開発に欠かせません。また、家庭では洗濯機やサイクロン掃除機など、日常生活の身近なところに遠心分離の技術が使われています。
これらの遠心分離機がなければ、現代の便利な生活は成り立たないと言っても過言ではありません。それぞれの分野での利用が、私たちの日常生活の質を向上させています。
遠心分離機の遠心力の大きさは?
遠心力の大きさは「G」という単位で表します。地上のあらゆる物体には地球の重力が働いていますが、その地球の重力を「1G」と表します。例えば静置した液体の中で物体が沈むのは“1Gで自然に分離している”ということができます。
では、遠心分離機の場合はどうでしょうか。分離させたい物体によって異なりますが、一般的には重量の数千倍に相当する2,000~4,000G、分子レベルでの分離を可能とする超遠心機と呼ばれる超高速回転の遠心分離機では10,000G以上の遠心力を発生させます。
低速・中速・高速の違い
遠心分離機の回転速度は「min⁻¹」という単位で表します。これは1分間に何回転するかを示しており、例えば、1,000 min⁻¹は1分間に1,000回転することを意味します。
低速遠心分離機は回転速度が1,000 min⁻¹以下で、遠心力は1,000G以下です。このタイプの遠心分離機は、粗い分離が必要な初期段階での処理に適しています。
次に、中速遠心分離機は回転速度が1,000〜10,000 min⁻¹の範囲で、遠心力は1,000〜10,000Gに達します。これらは、低速遠心分離機より精密な分離が必要なプロセスに適しており、効率的な分離が求められる場合に多く用いられます。
最後に、高速遠心分離機は10,000 min⁻¹以上の回転速度で、遠心力は10,000Gを超えることがあります。このタイプの遠心分離機は、非常に細かい粒子の分離や微量成分の除去に適しています。例えば、非常に微細な粒子や液滴の高精度な分離が必要なプロセスで使用されます。
このように、遠心分離機の速度と遠心力の違いに応じて、分離の精度が異なります。適切な遠心分離機を選ぶことで、分離作業の効率と精度が向上し、品質が確保されます。
遠心分離機の仕組みとは?
では、遠心分離機の機械内部ではどのように遠心力を発生させて、個体と液体、液体と液体といった複数の成分や物体を分離させているのでしょう?遠心分離機の仕組みについて詳しく説明してまいります。
分離の種類
工業用遠心分離機の分離方法は、主に「重力沈降」と「遠心分離」という2種類があります。
ドレッシングを一定時間放置すると比重の軽い油は上部に浮かび、比重の重い水分や酢は下部に沈み2層に分かれます。これは比重の異なる成分が重力によって分離されるためで、これを「重力沈降」といいます。
この重力沈降の原理を応用し、遠心力を用いて分離させたものが「遠心沈降」です。「遠心沈降」では高速回転によって生まれる遠心力が物質に作用し、短時間で効率的に分離を行ないます。
さらに、「遠心沈降」の原理にろ材を組み合わせて固体と液体を分離するのが「遠心ろ過」です。「遠心ろ過」では、遠心力によって混合物がろ材を通過し、固体はろ材上に捕捉され、液体はろ材を通過して分離されます。
この「遠心沈降」と「遠心ろ過」を総称して「遠心分離」と呼びます。
遠心分離機の仕組み
遠心分離機は本体内部に回転体(バスケット)を備え、それをモーターの力で高速回転させることで強い遠心力が生まれます。回転体はシャフト(軸)に取り付けられ、軸受けがシャフトを支えます。軸受けは滑らかな回転を可能にし、摩擦を最小限に抑える役割を果たします。これにより、安定した高速回転を実現します。
遠心分離機を導入するメリット
工業用遠心分離機を導入することには多くのメリットがあります。
効率的な分離
遠心力を利用して迅速かつ効率的に異なる成分を分離することができます。これにより生産プロセスのスピードが向上し、作業効率が大幅に向上します。
高精度の分離
非常に細かい粒子や微量成分の分離にも対応できるため、製品の純度や品質を向上させることができます。
多用途性
清澄、清浄、洗浄、脱水・脱油、分級、抽出などさまざまな分離処理性能を持ち、多様な場面で使用することができます。
コスト削減
効率的かつ高精度な分離が可能なため、製造プロセスの無駄を減らし、材料の使用効率を高めることができます。これにより、総合的なコスト削減が可能となります。
自動化と操作の容易さ
現代の遠心分離機は制御システムを備えており、操作が簡単で自動化も可能です。これにより作業負担の軽減に貢献します。
SDGsの課題をクリアできるメリットも
2015年に開催された国連サミットにおいてSDGs(Sustainable Development Goals)が採択され、「持続可能な開発目標」は今や多くの企業にとって達成すべき命題となっています。この目標のもと、環境に配慮した経済成長を目指す企業が増え、資源の有効利用やリサイクルに役立つ産業用遠心分離機の注目が高まっています。
遠心分離機を導入することで、環境に負荷をかけずに効率よく経済効果を上げていくというSDGsへの取り組みにも成果を上げることが可能です。
アメロイドの遠心分離機の特徴
アメロイドでは、1,000 min⁻¹未満の低速タイプ、3,000~5,000 min⁻¹の中速タイプ、10,000 min⁻¹の高速タイプの遠心分離機をラインナップしています。それぞれの特長をご紹介いたしますので、ぜひご参考になさってください。
なお、初めて遠心分離機の導入をご検討の場合、ご利用いただきやすいレンタルプランもご用意しておりますのでお気軽にご相談ください。
FK型サイクロン
「FK型サイクロン」は、液の流れによって発生する遠心力を利用してスラッジを分離する低速タイプの遠心分離機です。フィルタなどを使用しませんので目詰まりなどの心配がなく、消耗品も必要がないという特長があります。可動部がないことから故障はほとんどせず、安定的に液中の異物を除去していきます。
アメロイドセパレータAS型
「アメロイドセパレータAS型」は、水や油のほか、あらゆる液体から強力な遠心力で異物やゴミを取り除く中速タイプ(3,000〜5,000 min⁻¹)の遠心分離機です。
工場の製造ラインで使用される潤滑油や加工油、クーラント、洗浄液などさまざまな液体から異物やゴミを取り除き、製品の生産性向上と品質向上を実現するほか、液体の寿命延長、廃液処理費削減を達成するものです。
異物やゴミは固形化された状態で自動排出され、手がかからないので、排水処理施設の負荷軽減やディーゼル燃料油重油の前処理用途など、幅広い分野で活躍するタフで高性能な遠心分離機です。
遠心脱油機UB型
各種水溶液から油分と異物やゴミの除去を同時に行なう1台2役の遠心分離機が「遠心脱油機UB型」です。
この遠心分離機に油と異物やゴミが混入した水溶液を入れると油水分離された油は連続排出され、同時に異物やゴミは回転体内に固形化して捕捉されます。機器からは清浄化された液が排出されます。
全自動型ですので、起動スイッチを押すだけで清浄運転ができ、手がかからないほか、遠心力を利用して混合物を振り分けるので、フィルタのような消耗品も必要ないところが特長です。
遠心脱油機WF型
クーラント液や洗浄液などの水溶液から油を除去する高速タイプ(10,000 min⁻¹)の遠心分離機が「遠心脱油機WF型」です。
強力な遠心力で油と水を分離できますので、エマルションも分離可能です。同時に液中のスラッジも分離でき、液をクリーンな状態に保ってくれます。WF型はコンパクトにユニット化されているうえに、電源があればどこでも運転可能という大変使いやすい装置です。ステンレス仕様もあり、多様な液種にも対応可能です。
安心のアフターサポート
遠心分離機はその高い回転速度や複雑な内部構造のため、壊れやすいというイメージがあるかもしれませんが、適切なメンテナンスにより、長期間安定して運用することが可能です。
アメロイドでは、遠心分離機を導入後いただいた後もその性能を発揮し続けられるよう、充実したアフターサポートのサービスで安定稼働をお手伝いいたします。
まとめ
高速で回転させることで遠心力を発生させて、固体と液体、液体と液体といった複数の成分や物体を分離させる遠心分離機。環境に配慮した持続可能な企業活動「サステナビリティ」が求められる現代、遠心分離機の注目はますます高まっています。
アメロイドでは、お客様のニーズに応えられる、さまざまなタイプの遠心分離機をご用意しています。生産性や品質の向上、液体の寿命延長や廃液処理費削減などの課題をお持ちのお客様には、遠心分離機が最適な解決策です。遠心分離機は油や液体から効率的に夾雑物を取り除くことで、これらの課題解決に大いに役立ちます。是非お気軽にご相談ください。
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