油圧フィルタの基礎知識!仕組み・特長を解説!

2022年11月22日

油圧機器の回路内を流れる作動油内の異物やゴミを取り除き、ろ過を行う油圧フィルタはどのようなときに使われるのでしょうか。本コラムでは、油圧フィルタの仕組みや特長などを紹介します。

油圧フィルタの基本を知ろう

油圧フィルタとはどのようなものでどのような役割を担っているのでしょうか。

油圧機器の回路内部を流れる異物やゴミを取り除く

建設機械や産業機械の要と言える油圧システムは、異物やゴミなどで汚染されていることが多くあります。油圧機器が故障する原因の7割は機械の作動油内の異物やゴミにあるとされており、油圧システム内の油の汚れは機械の故障に直結します。

そこで作動油内の異物やゴミを油圧フィルタで取り除くことが重要となります。油圧フィルタは油圧機器の寿命を延ばし、稼働効率を上げるためには必要なものだといえます。

作動油から水分を取り除く

作動油の寿命を伸ばすためには、異物やゴミを取り除くだけでなく、作動油内の水を取り除く必要があります。機械の作動油内に水が含まれてしまうと潤滑性が落ちてしまうため、油圧フィルタを使用して作動油から水を取り除く必要があります。

その方法としては、作動油タンク内の作動油を水分除去用フィルタに通過させてタンクへ戻すことです。作動油が油圧フィルタを通過することで水分が除去されます。

フィルタの「ろ過精度」とは?

油圧フィルタを通過することで除去できる粒子の大きさはフィルタ「ろ過精度」と呼ばれています。一般的に「公称ろ過精度」や「絶対ろ過精度」といった表現がされていますが、どちらについても業界で統一された基準はなく、メーカー各社が独自のテストで規定した「フィルタろ過精度」となっています。

油圧フィルタのろ過性能を測る有効な指標としては、マルチパスフィルタ性能評価法(ISO16889)から導き出されるβ(ベータ)値があります。これは現在、世界で最も評価されている「ろ過精度」となり、このβ値を基準にフィルタエレメント(作動油などの汚れを取り除くための部品)を選定する必要があります。

油圧フィルタの仕組みとは?

油圧フィルタの仕組みとして、以下のような4つの方式が用意されています。

表面ろ過式

異物やゴミ、水などの粒子を表面で捕捉するフィルタであり、スクリーンフィルタとも呼ばれます。素材をプリーツ(蛇腹)状に折り込んで表面積を増やすことにより、粒子の捕捉量を高めながらろ過を行います。ろ過抵抗が少なく大流量を処理するのに適しています。

深層ろ過式

異物やゴミ、水などの粒子を内部で捕捉するフィルタであり、デプスフィルタとも呼ばれます。表面ろ過フィルタよりも1本あたりの粒子捕捉量が多く、コストパフォーマンスに優れているという特長を持ちます。

逆洗式

表面ろ過式のフィルタを用いて異物やゴミをフィルタの表面で捕捉していきます。一定量の異物やゴミを捕捉したら、液体を逆流させて捕捉物を系外に排出する方式です。この作業を繰り返していくことで、高精度のろ過性能とコストパフォーマンスの両方を実現します。

吸着式

除去したい液体をろ材に吸収させて取り除く「ろ過方法」です。浮上油を吸収する油吸着マットやセルロースといった植物繊維をろ過材とした、水取り用のフィルタがこの吸着式に該当します。

油圧フィルタの特長

以下、アメロイドで取り扱っている油圧フィルタ3製品の特長を説明します。

APフィルタ

圧力損失の少ないフィルタエレメントを採用し、大流量処理が可能でタンク内の油を短時間で確実に清浄化できるのが「APフィルタ」です。捕捉量を多くする構造を持つフィルタエレメントは運送や装着時に傷がつかない丈夫な構造を採用しながら軽量に設計されており、取扱いが容易であり、長いフィルタ寿命を持っています。




CJCオフラインフィルタ

油中の異物やゴミをろ過するだけでなく、水分も吸着して油を新油以上の清浄度に保ち、「設備停止トラブル撲滅」「油圧機器、タービン装置、真空ポンプなどの故障率低減」「保全コスト削減」「油消費量低減」などの効果を生むのが「CJCオフラインフィルタ」です。

ミクロンレベルの固形分だけでなく水分も除去し、長寿命なフィルタを使用しているという特長を持つ「CJCオフラインフィルタ」は、作動油を常に新油相当の状態に維持することが可能となっています。

作動油用として実績No.1の高性能フィルタとなっており、油圧機器のトラブル回避はもちろん、機械自体の寿命の延長にも役立ちます。発売以来60年が経過していますが、自動車、自動車部品、建機、製鉄、船舶、食品など、あらゆる業界における機械油の清浄装置として採用されており、これまでの実績は1万台を超えています。

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自動逆洗フィルタ 潤滑油用 AL型

「自動逆洗フィルタ 潤滑油用 AL型」は、余裕あるろ過面積を確保しながら精度が選べる高性能エレメントを採用している自動逆洗方式の燃料用フィルタです。

多筒型ステンレスワイヤーエレメント採用しており、自動逆洗はエアーシリンダ駆動機構で故障することはありません。従来製品と比較しても本体・スペースともに最小となっており、開放点検が容易な構造設計を持つという特長があります。


まとめ

機械の作動油内に異物やゴミ、水分が含まれていると、油圧機器が故障する原因となります。そこで、作動油内に含まれている異物やゴミ、水分は油圧フィルタで「ろ過」して取り除くことで、油圧機器の寿命を延ばし稼働効率を上げていくことができます。

アメロイドでは、用途に応じたさまざまなタイプのフィルタをご用意しています。

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