油水分離機の基礎知識!仕組み・特長を解説!

2022年11月22日

油と水を分離してくれる油水分離機は、どのような機能を持って、どのような目的で使われるのでしょうか。本コラムでは、油水分離機の仕組みや特長のほか、代表的な製品などを紹介します。

油水分離機の基本を知ろう

まず油水分離機の基本を説明します。

「油水分離機」とは?

油水分離機とは、水質汚染の原因となる排水中の油分を除去するために工場などから排出されてくる汚水の油と水を分離させる装置の総称です。

アメロイドが製造している製品の中でも大きなウェイトを占めている油水分離機は、廃油(使い終えた捨てる油)を分離するものではありません。工場では、さまざまな工程で加工品から油分を取り除くために洗浄液を使用します。この洗浄液に混入する油分を除去するのに油水分離機が有効になります。

油水分離機の用途・導入のメリット

主に製鉄所や重工業の工場などにおいて使用される油水分離機は、水に混じった油を取り除く場合と油に混じった水を取り除く場合の2つのパターンで利用されています。以下、それぞれのパターンの用途・導入のメリットを説明します。

 

水に混じった油を取り除く場合

まず工場の加工工程などにおける洗浄液(製品の油などの異物を取り除く液)の中に混じった油を取り除く場合です。

製品に付着している油を洗浄する工程があった場合、工場では油が混ざった洗浄液を捨てずにタンクに蓄積。ポンプを使用してその洗浄液をシャワーのようなかたちで送りつづけて、その中を製品が通過することになります。すなわち、洗えば洗うほど洗浄液に油が多く混ざった状態となります。

その際、シャワーされた洗浄液と製品に付着した油が一緒になってタンクにもどっていくとタンクのなかの洗浄液の中で油が固まってしまい、洗浄不良を起こす可能性があります。

そこで油水分離機を使用することで洗浄液をきれいな状態に保てるほか、コストを低減できるといったメリットが生じます。

油に混じった水を取り除く場合

機械の金属と金属が直接触れる部分は摩耗して機械の寿命が短くなってしまいますが、金属と金属の間に油膜をつくることで潤滑性が上がり摩耗しにくくなります。しかし、機械の潤滑油などに水が入ってしまうと潤滑性が低下することになります。

たとえば製鉄所の圧延という工程では、水で材料を冷やしながら形を変えていくために、潤滑油が入ったタンクに、水が混入してしまう場合があります。そこで油と水が混ざることで油の粘度と潤滑性が落ち、機械のトラブルにつながってきます。

そこで油水分離機を使用して潤滑油に混入する水を常時除去することで、潤滑性を維持。機械トラブルが起きないようにできます。

ここでの油水分離機のメリットとしては、「機械トラブルを防ぎ稼働率を高く維持すること」と「機械の稼働率を高めることで生産性を落ちないようにすること」が挙げられます。

ひとつの機械で2パターンの装置を使用することもある

上記の2パターンの装置は生産上で異なるメリットを持っています。そこで1つの油水分離機の中で水から油を取り除く機能と、油から水を取り除く機能の2パターンを同時に使用することもあります。

油水分離機の仕組みとは?

次に油水分離機の仕組みを詳しく説明していきます。

効率よく分離させるための4つの方法

油水分離の方法はさまざまなものがありますが、アメロイドでは水の量や水の細かさに合わせ、より効率よく油水分離をするために用途によって「分離槽式」「遠心分離式」「コアレッサ式」「吸着式」といった4つの方法の製品を揃えています。

4つの方法の中で分離槽式については、大量に水がある場合に使用するものです。分離槽式で分離しきれなかった油がある場合には、遠心分離式、コアレッサ式、吸着式の油水分離機も併用するなど、必要に応じて追加使用します。

分離槽式

サラダドレッシングを置いておくと、下部に水分が貯まっていき上部に油が浮くようになります。分離槽式とは、このように自然に分離するメカニズムを利用して大まかに油と水を分ける方法です。分離槽で液体を受けて油を上部に貯め、下のほうから水分を排出するというわけです。大量に遊離水がある場合には、この分離槽式の油水分離機を使用することが適しています。

分離槽式以外の3つの方法は、自然に分離させるのが難しい油と水を分離させる場合や短時間で分離させたい場合に使用します。

遠心分離式

高速で回転して遠心力を発生させ、比重の異なる液体と液体を分離させる遠心分離機を使用する方法が遠心分離式です。

コアレッサ式

サラダドレッシングを置いておくと下部に液体が貯まっていき上部に油が浮くようになりますが、油の中にもある程度の水分は含まれています。そこで油の中の水分の粒子をくっつけ合って大きな粒子にすることで、水分を下部に落とす仕組みがコアレッサ式です。

吸着式

フィルタがティッシュペーパーのような役割をすることで、フィルタを通った後の油は水分が取り除かれたものとなる方法です。ティッシュペーパーが水を吸うことをイメージすると分かりやすいでしょう。

油水分離機の特長

以下、アメロイドで取り扱っている油水分離機の5製品の特長を説明します。

遠心脱油機 UB型

各種水性液の油水分離とスラッジ(異物)除去を同時に行なう1台2役の油水分離機が「遠心脱油機 UB型」です。

この油水分離機に油と異物やゴミが混入した水性液を入れると油水分離して油を連続排出し、同時に異物やゴミを固形化し回転体内に捕捉して清浄液を排出します。

全自動型ですので、起動スイッチを押すだけで清浄運転ができ手がかからないほか、遠心力を利用して混合物を振り分けるので、フィルタのような消耗品も必要ないところが特長です。

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遠心ドライ装置 MJ型

「遠心ドライ装置 MJ型」は、油水分離とスラッジ除去を同時に行える油水分離機です。アメロイド独自の除水機能「ドライ方式」を遠心分離機に組み合わせた製品であり、強固なエマルションを油水分離できるので白濁した油に透明感が蘇ります。油中のスラッジは遠心力の作用で油から分離されて固形化します。

起動スイッチを押すだけで清浄運転ができ手がかからない全自動型を用意しているほか、消耗品がなく低ランニングコストという特長を持っています。

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PTUオフラインフィルタ

「PTUオフラインフィルタ」は、油圧作動油用フィルタとして絶大な評価を得ているCJCオフラインフィルタにコアレッサ(油水分離機能)を付加した油水分離機です。

油圧装置やタービン装置、真空ポンプなどのユーザーに最適なフィルタを搭載しており、「設備停止トラブル撲滅」「保全コスト削減」「油消費量低減」といった効果を生むようになります。

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コンプレッサドレン水用フィルタ UQ型

「コンプレッサドレン水用フィルタ UQ型」は、主にコンプレッサドレン水等から油分を除去し、水質汚濁防止法の排水基準を持続的にクリアさせる油水分離機です。3つの吸着技術で油分や臭気を除去します。

浮上油回収装置 FU型

「浮上油回収装置 FU型」は、浮上油回収を確実に行い、クーラントの腐敗防止など多くのメリットを生み出してくれる油水分離機です。

浮上油を手間なくすばやく回収してくれるほか、消耗品がなく低ランニングコストで稼働。本体には可動部がないため故障の心配がないという特長を持っています。

 

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まとめ

工場などから排出されてくる汚水の油と水を分離させる装置である油水分離機は、洗浄液をきれいな状態に保てるほか、コストを低減できるといったメリットを持っています。

油水分離機は、水に混じった油を取り除く場合と油に混じった水を取り除く場合の2つのパターンで利用されているほか、用途によって4つの方法があります。アメロイドでは、より効率よく油水分離をするためにさまざまなタイプの油水分離機をご用意しています。

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